音楽と金融化

暗いスタジオに赤いランプが灯り、息を飲む一瞬ののちに録音ボタンが押される。
空気の振動は磁性体を揺らし、後には数字の列として保存される。
歌は時間を超えて流通し、権利は契約の網の目を伝って利子を生む。
レコードはサブスクへ、ジャケットはプレイリストへ。
音は「私的な体験」であると同時に「金融資産」に接続される。

声を届ける活字

活字は声を吸い込み、声は活字に宿った。新聞は朝のざわめきを整え、雑誌は夜の思索をかき立てる。そこに響いていたのは、民衆の声か、それとも広告主の声だったのか。 新聞と雑誌は、声を文字に変換する最初の大規模なメディアだった。…

順番が逆じゃないか――お金が先に来る時代への小さな覚書

気がつけば、どこもかしこも「お金にする」話ばかりだ。 新しい技術が出れば、まずは投資。映画や音楽も同じだ。 伝えたい物語よりも、どれだけ市場が膨らむか、どれだけ資本を呼び込めるかが最初に語られる。 本来なら逆だろう。 心…

ロバート・レッドフォードの功績

ロバート・レッドフォードが2025年9月16日に米ユタ州の自宅で亡くなった。享年89歳。合掌🙏 ところで、メディアの金融化という流れの中でサンダンス映画祭について触れない訳にはいかないだろう。同映画祭は、ロバート・レッド…

メディア産業の金融化―コンテンツが投資商品になる時代

NetflixとSpotifyが変えた風景 かつて映画は映画館で観るものだった。音楽はCDを買うものだった。新聞は毎朝配達されるものだった。しかし2025年の今、これらの前提はすべて過去のものとなった。メディア産業は根本…

首輪は誰の手に ──Macと私とサブスク地獄

『Macを連れて散歩しよう』──そんな連載をMacFan誌で10年も続けていた。今読み返すと、なにやらほのぼのしたタイトルだ。ペットのようにMacを連れ、街角のカフェで原稿を書いたり、公園のベンチで物思いにふけったり。あ…

放送メディアの金融化

声は電波に乗り、映像は光となって家庭へ届いた。 ラジオは耳を、テレビは目を奪う。 そこに響いていたのは視聴者の願いか。 それともスポンサーの声だったのか。 ラジオとテレビは、声と映像を電波に変換し、同時性を持って大衆に届…

📖 声と文字の金融化

言葉は風に似ている。捕らえられぬ声が文字となり、文字は財産となり、やがて市場で値付けされる。文学は「声の記録」であり「社会の記憶」だ。だが同時に著作権制度の中で「知的財産」として管理され、市場で取引される対象ともなった。…

金融化するAI投資

AIへの投資が過熱している。1990年代末のドット・コム・バブルを連想させる側面がある。しかも今回は「AIそのものがメディアと同様に金融化している」という点が特徴的だ。以下、分かりやすく整理します。 ⸻ 1️⃣「金融化」…